- 目次
- 車両データ
- 実際の症状
- 修理内容
- 結果
車両データ
車名 | キャンター |
形式 | KK-FE51CB |
原動機 | 4D33 |
初年度 | H14ー8 |
走行距離 | 492888㎞ |
実際の症状
• 時々エンジンの吹けが悪くなる。
• アイドリングは安定しているが空ぶかし
でもバタバタと吹け白煙を多量に吐く。
• 症状は出たりでなかったりする。
• エンジンチェックランプは点灯なし。
備考 |
電子制御式分配型噴射ポンプ |
修理内容
- 1回目の入庫
症状確認
アクセル全開でバタバタと吹けて白煙がすごいのを確認。 |
① 各部位点検
吸気系に異物及び異常がないか点検
エアークリーナーとインテークダクト脱着
詰まり点検、異常なし。
インテークシャッター点検、固着及び
損傷等なし。
② 燃料系の点検
タンク内の異物がないか目視及びタンクの
ドレーンを脱着して点検、異物もなく燃料も
軽油が入っている。ホース及びパイプまわり
目視点検漏れ等なし。
③ 過去の整備歴確認
燃料エレメント交換を1年以上無交換
前回交換からそれほど距離は伸びてない
④ 燃料エレメント交換
⑤ 試運転にて症状出ず
試運転で症状出ないが噴射ポンプ及び
インジェクタションノズルの可能性もあること
をお客様に報告し今回はここまでで様子見。
- 2回目再入庫
症状改善されてないため再入庫
① 燃料系のエアー吸い込みがないか点検
エアー混入があるかもしれないので
各ホースをビニールホースに変えて目視
で点検したがエアー混入なし。
② 故障コード点検
スキャンツール未対応のため短絡にて点検。
チェックランプ点灯はないが過去コードで
何か出てないか確認し下記コードあり。
過去故障コード |
エンジン回転信号不良 |
ポンプガバナー異常 |
③ お客様に報告
噴射ポンプとインジェクションノズル不良の
可能性が高いことを報告して交換することを
提案。
噴射ポンプとインジェクションノズルを
中古品でお客様より支給。
中古品のため保証はないが交換する段取りに。
④ 噴射ポンプとインジェクションノズル交換
各部品交換後吹け上がり良好のため
スチーム洗浄後に試運転に行こうとしたら
再度症状が出て交換前よりも症状が悪化した。
⑤ 元のインジェクションノズルに交換
交換前より症状が悪化したので中古の噴射
ポンプとインジェクションノズルに問題が
あると思われるため、交換作業が楽な
ノズルから交換することに。
ポンプの組間違いも疑ったが症状が出てい
ない時は吹け上がりは良好なので組間違い
なしと判断し元のノズルに再度交換。
交換後吹け上がり良好のため車両移動したら
症状再発した。
⑥ 再度各部位点検
インテークダクト及びシャッター再点検
異常なし。
インテークシャッターを手で閉じてみたら
同じような症状になったことと、排気ガス
が燃料臭いことを確認。
インテークシャッターまわりを念入りに
再確認。バキュームホースが抜けている
ところがあったのでホース取り付けたが
症状変わらず。
⑦ 症状再現
工場内を旋回して何度も症状がでたら
キャビンを上げてを繰り返していると
キャビンを降ろしている時に症状が出ていた
のにキャビンを上げた時に症状が止まることが
あった。
キャビン前にある集中ハーネス関係がキャビン
を上げた時に動くことで症状が出るかもしれな
いのでハーネス関係の点検を実施することに。
⑧ 各ハーネス外傷点検
キャビンの上下運動時に動く各ハーネス及び
アース関係の外傷を一本ずつ点検したが異常
なし。
キャビンの外に異常がなかったのでキャビン
の上下運動時にキャビン内部で異常がないか
点検することに。
⑨ キャビン内部のハーネス及びECU点検
ECUが助手席の後側についていたので
キャビン内の荷物を降ろしてのハーネスを
付けたままECUの取り付けを外し軽く衝撃を
与えたり揺すってみたが症状出ず。
ECUの取り付けを外した状態にしてから症状
が出なくなったのでECU付近のハーネスを
念入りに点検すると集中ハーネスのうち2本に
断線はしていないが導線がむき出しのところが
あった。何かがこすれたような感じだったので
原因を点検。
ECUが固定されているところにスぺアタイヤ
脱着用のクランクボウが固定されずに置かれ
ていた。クランクボウの先端がハーネスに接触
していたことがわかった。
⑩ 実際に症状が出るか点検
剥き出し配線をボディーアースしたが症状出ず。
剥き出し配線同士をつなげてみたら(短絡)
症状がでて配線を離したら症状が出なくなった。
⑪ 剥き出し配線を修理
配線の修理とクランク棒を格納場所に
しっかりと固定。
⑫ 試運転
試運転にて異常なしのため修理完了。
結果
スペアタイヤ用のクランク棒が固定されてい
ないことによって配線に擦れて剥き出しになり
車両の振動によってクランク棒で短絡された
ことが原因だった。
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