トラック整備 整備士基本技術

トラックのエンジンオーバーヒートと水温が上がる原因を考察

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目次

1 E/Gの冷却で大事なこと

2 水温が上がる原因におもに考えられるのもの

 3 各部品ごとの説明

4 感想

1 E/Gの冷却で大事なこと

① しっかりと冷却水がラジエーターに入っていること

② 冷却関係の部品がしっかり作動していること

2 水温が上がる原因におもに考えられるのもの

1 冷却水の漏れ

 2 エンジン吹き返し

3 マフラー再生中の噴射量の異常

4  サーモスタット不良

5  ウォーターポンプ不良

6  ラジエーターの詰まり

7  ファンカップリング不良

 

 3 各部品ごとの説明と点検

1 冷却水の漏れ

説明

ラジエーターに冷却水がしっかりと

入っていることはとても大事なことです。

冷却水がしっかりと入ってないと

E/Gを冷却することはできません。

点検方法と原因

水圧テスターを使い下記①~④の

冷却系統の水漏れを点検します。

① ウォーターホースとパイプの漏れ

② ラジエーターの漏れ

③ ウォーターポンプの漏れ

④ そのほかの冷却装置の漏れ

※ ラジエーターのアッパータンクが

変色していると水圧テストをした時に

水漏れすることがあるので注意してください。

水漏れがないのに水が減る原因の考察はこちらから。

 

 2 エンジン吹き返し

説明

E/Gの吹き返しがあるとラジエーターの

冷却水が減ってしまいE/Gを

冷却することができません。

点検方法と原因

E/Gの吹き返しの原因は主に下記の①~④です。

① E/Gヘッドの亀裂

② E/Gヘッドガスケットの不良

③ EGRクーラーに亀裂

④ エアーコンプレッサーヘッドの割れ

E/Gの吹き返し点検の詳しい説明はこちらから。

 

3 マフラー再生中の噴射量の異常

 

 

説明

マフラー再生中になるので

基本的に停車時に起こります。

マフラーの再生中の

噴射量が規定値にないために

E/Gが高温になり

冷却水が沸騰してしまう。

下記の車両で実際にありました。

① イスズのエルフとフォワード

② 日野のレンジャー

点検方法と原因

スキャンツールを繋ぎデーターモニターで

マフラー再生中の噴射量の点検する。

主な原因は下記の部品です。

 

① 排気シャッターの閉度の異常

② 可変ノズルターボチャージャーの不良

 

排気シャッターの調整で

対応できる場合もあります。

日野の車両ですが、調整方法の

詳しい説明はこちらから。

マフラー再生中にオーバーヒートした

事例に興味がある方はこちらから。

 

4  サーモスタット不良

説明

サーモスタッドはE/Gの水温を設定値に保ち

ラジエーターに流れる水量を調整して

オーバークールを防止している。

E/Gの水温調整をしている部品で

最初にに疑うところです。

点検方法と原因

オーバーヒートの場合はサーモが

開かないことでラジエーター側に

水が流れず冷却されないことが考えられる。

サーモスタットの固着を疑います。

サーモスタット本体を取り外し

パッキン類の劣化等を点検するのと

お湯の中にいれて設定温度でサーモが

しっかり開くかを点検します。

目視だとわかりにくいので、

サーモを外す場合は交換前提で作業します

 

5  ウォーターポンプ不良

説明

ウォーターポンプは冷却水に過流を

与えることによって冷却水がE/G内部と

ラジエーターを循環するようにしている。

点検方法と原因

ウォーターポンプのシャフトにガタがないかと

水圧テスターでシャフトシールの水漏れを点検。

冷却水の錆が酷く、E/Gがかかっている状態で

冷却水に過流が見られない場合は

ウォーターポンプのインペラが

錆びてなくなっていて過流が

作れなくなっていることがある。

 

6  ラジエーターの詰まり

説明

ラジエーターはアッパー及びロアータンクと

冷却水を流すコアとコアの熱を放出する

フィンからできている。

コアに流れるE/Gで熱くなった冷却水を

ファンと走行時に受ける風とで冷却している。

点検方法と原因

① 水圧テスターで漏れがないか点検する。

 

② ラジエーターのコアとフィンの間に

ごみ等が詰まっており風の抜けが悪くなって

冷却効果が落ちていないか点検する。

詰まっている場合はごみ等を取り除く。

 

③ ラジエーター内部に錆び等の

ごみが溜まってしまい冷却水が流れなくなり

冷却ができなくなっていないか点検する。

冷却水の汚れを見るのとアッパータンクと

ロアータンク内部の詰まりを目視で点検するか

外注に詰まりの点検を依頼する。

 

ラジエーターの詰まりによるオーバーヒートの事例

三菱ふそうファイター オーバーヒート及びE/G吹き返し(大)

三菱ふそう大型トラック6R10エンジン 水温オーバーヒート気味

 

7  ファンカップリング不良

説明

E/G動力による冷却ファンには

ファンカップリングがありラジエーター内の

水温が低いときはファンを空転させる。

水温が上がるとファンカップリング内の

液体の作動でファンが回りはじめる。

最近のトラックの大型車両でも

電動ファンが増えてきました。

点検方法と原因

下記の①と②の点検でファンカップリングが

不良の場合はファンがしっかりと

ラジエーターを冷却できないので

水温が上がる原因に考えられる。

 

① ファンの回転具合を目視で点検する。

E/Gの回転速度に対してファンの回転速度が

普段より遅れているように見える場合は

ファンカップリングが不良の可能性が高い。

この状態の時にスチーム等でファンに

抵抗を加えるとファンが止まることがある。

手でも止めることもできるが危険なため

お勧めしません。

 

② 水温を上げてサーモスタットが開いたときに

温かい風がしっかりと出てくる場合は

ファンカップリングがしっかりと

作動していると判断します。

暖かい風がでてこない時は、

ファンカップリングが不良の

可能性があります。

感想

その他の原因もあると思われますが、

自分のわかる範囲で考察してみました。

参考までにどうぞ。

 

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