トラック整備

イスズのフォワード4HK1エンジン カムシャフトのシザースギヤに注意!

投稿日:

目次

1 カムシャフトのシザースギヤに刻印がある

2 シザースギヤとは何か?

3 実際に私が困った体験談!

4 まとめ

1 カムシャフトのシザースギヤに刻印がある

イスズのフォワードのカムシャフトには

シザースギヤがある。

E/Gのタイミングを合わせるための刻印が

シザースギヤ側に付いている。

カムシャフトギヤがシリンダーヘッドにつく

アイドルギヤに連結されており

カムシャフトを外す時にシザースギヤを

固定しないで取り外すと

シザースギヤが「2~3ギヤ」ずれてしまう。

同時にタイミングを合わせる刻印も

「2~3ギヤ」ずれてしまう。

 

2 シザースギヤとは何か?

ギヤにもう一つ薄いギヤを付けており、

その中にスプリングを入れており

噛み合うギヤとギヤのガタをなくして

騒音の抑制をしている。

3 実際に私が困った体験談!

E/Gのヘッドガスケットからの

オイル漏れのために

ヘッドガスケットの交換を

していた時のことです。

カムシャフトを外す時に

シザースギヤのことを気にしておらず、

そのまま外してしまいました。

ヘッドを降ろしてガスケットを交換し

各部品を綺麗に掃除して

E/Gのタイミングが合っているのを

確認して組付け。

E/Gを始動するが掛からず。

プライミングポンプを突いて燃料の圧送を

しながら再度E/Gを始動したが掛からず。

E/Gのタイミングが合っているのは

確認しているので燃料系を疑い

燃料のエアー抜きを実施したが変わらない。

スキャンツールを繋いで何か異常コードが

でてないか点検したがでていなかった。

E/Gをクランキングしながらスキャンツールの

データモニターで確認していると

カム角センサーとクランク角センサーに

「相関異常」

と表示されているのがわかった。

E/Gのタイミングがずれていることが

判明したので、EGRクーラーとヘッドカバーを

外してタイミングを合わせる。

クランクの刻印とカムの刻印は

しっかりとあっていた。

年式の違うフォワードでも同じことがあったのを

思い出して、カムギヤを確認していると

カムシャフトギヤがシザースギヤになっていた。

カムシャフトを外してバイス台に固定して

パイプレンチを使いシザースギヤを

元の位置に戻してボルトを入れて固定。

カムシャフトを組付けた後にシザースギヤを

固定していたボルトを忘れずに取り外し。

全て組付け後に再度E/Gを始動した。

少し長めのクランキングから

無事にE/Gがかかりました。

対策方法

私はこの失敗をしてから、

やりなれないE/Gの作業の時は

以下のことを必ずやるようにしています。

① カムシャフトを外す前にシザースギヤが付いてないか確認する。

カムギヤに薄いギヤが付いていないかを確認をする。

② カムシャフトを外す前に必ずギヤにペイントをする。

もしもシザースギヤだとわからずに外した時に

ギヤのずれがペイントのおかげでわかるので

組付ける前に未然に防げます。

③ シザースギヤがある場合は固定する

シザースギヤが付いているのがわかったら

必ず固定しましょう。

ギヤの側面にねじ山がありボルトが

入れられるようになっているので

必ず固定しましょう。

固定していたボルトは組付け後は

必ず取り外します。

そのままにするとボルトが外れ

E/Gのギヤトレーンに挟み込まれて

大変なことになります。

まとめ

① カムのシザースギヤに刻印があり固定しないとタイミングがずれるので注意。

② シザースギヤの固定ボルトは組付け後は必ず外す。

③ やりなれないE/Gの時はカムギヤにペイントをする。

トラック整備 見出し2



トラック整備 見出し2



-トラック整備

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

トラックのエアー漏れ点検方法 基本知識

エアーの漏れやすいところ ブレーキバルブ パワーシフト エアサスベローズ(たまに台の腐食穴あき) ABSのバルブ ブレーキチャンバーダイヤフラム及びマキシブレーキ エアタンクコック及びメクラ ナイロン …

日野プロフィアのE13Cエンジンでエンジン停止になるリコール

目次 1 対象車両 2 リコール内容 3 改善処置 1 対象車両 平成17年12月12日~平成29年3月28日に 製造された大型トラックの「プロフィア」 2 リコール内容 E13CE/Gにて吸気バルブ …

トラックのマニュアル車クラッチオイル交換とオイルタンクの位置

上記の図はクラッチブースター 目次 1 注意事項 2 クラッチオイルの場所 3 オイル交換方法 4 まとめ 1 注意事項 今回の説明は基本的な マニュアル車両のことであり、 特殊なセミオートマ等に関し …

イスズ フォワード エアドライヤーリンク品交換

エアドライヤー取り外し 基本としてはエアータンクからエアーを抜いてから作業をしますが このタイプのエアードライヤーは配管とホースを少し緩めて、 そこからエアーを抜きながら作業します。 まずエアーホース …

大型トラックのブレーキダイヤフラムとホイールパークの漏れ点検方法

目次 1 ブレーキの構造説明 2 ダイヤフラムからのエアー漏れ点検 3 ホイールパークからのエアー漏れ点検 1 ブレーキの構造説明 まずブレーキの構造を理解すると どのように点検すればいいかが わかり …