トラック整備 整備士基本技術

エンジン吹き返し点検の基本的な流れ

投稿日:2020年3月2日 更新日:

目次

1 注意事項

2 吹き返しの原因と思われるもの

3 エンジン吹き返すとどんな症状か?

4 吹き返しの点検をするときの状況

5 お客さんに車の状態を確認しましょう!

6 実際に吹き返しているのか点検しましょう!

7 各部位の点検及び絞り込み方法

8 総論

9 吹き返しの故障事例

注意事項

吹き返しの点検は難しいので確実にこうだとは

言えませんが基本的な流れはこんな感じです。

吹き返しがないのに水が減る場合の考察はこちらから

オーバーヒートと水温が上がる原因の考察はこちらから。

吹き返しの原因と思われるもの

基本的に疑うところ

  • エンジンヘッドガスケット不良
  • エンジンヘッド不良(亀裂、ゆがみ)
  • エアーコンプレッサーヘッド不良

ごくまれにある原因

  • EGRクーラーの亀裂
  • ラジエーターの詰まりによるエア抜け不良
  • マフラー再生中の温度上昇で冷却水沸騰
  • その他

エンジン吹き返すとどんな症状か?

基本的な症状

ラジエーター側の水が減りサブタンクに吹き返しの

エアーがポコポコきて水が増えます。

これはヘッドガスケットが抜けた場合は水のラインに

圧縮空気が入り込みサブタンクにエアーがいきます。

エンジンヘッドに亀裂があるとそこから圧縮空気が入り

サブタンクにエアーがいきます。

エンジンヘッド歪みの時もガスケット抜けと同じ症状になります。

ラジエーターの水が減るのは圧縮空気の高温で蒸発するためです。

吹き返しの点検をする時の状況

  • 水漏れしてオーバーヒートのちレッカー入場

(水漏れ点検を実施し修理後に吹き返し点検)

  • ラジエーター水減る

(水漏れ点検を実施し外に水漏れがない場合に吹き返し点検)

  • サブタンク水増える

(ラジエター側に水が入っているか点検し入って

いなければ水を入れて、吹き返し点検)

  • その他

 

お客さんに車の状態を確認しましょう!

吹き返しの点検をする前にお客さんに車の状態を聞きましょう。

  • オーバーヒートしたのか
  • 水量ランプは付いたのか(垂れてくるほど水漏れがあるのか)
  • ラジエーターとサブタンクに水を足したのか
  • またどのくらい水が入ったのか
  • サブタンクの水は増えたのか
  • サブタンクから水が吹いたか
  • その他

実際に吹き返しているのか点検しましょう!

1 サブタンクの点検

まずサブタンクを見て冷却水が増えていないかサブタンクの

大気開放用のホースから冷却水が漏れてないか見ます。

サブタンクに水がが増えていれば一つの目安になります。

漏れていればまわりに冷却水の跡があり甘い匂いがしています。

2 ラジエーターの点検

次にラジエーター側の冷却水が入っているか見ます。

ここでラジエーターの冷却水が少ないようなら水を足して

すぐ漏れてくるようなひどい漏れ具合の時はその場所を

修理します。

修理後に水を入れてサーモを開かせ、エア抜きをして

吹き返しの点検をします。ラジエーターキャップを外し

クーラントファンネルと言う道具を付けて三分の一ぐらい

水を入れてエアーが出てくるか点検します。

エアー抜きを十分にやってもポコポコとエアーが出てくる

ようなら吹き返しありと判断します。

各部位の点検及び絞り込み方法

  • エアーコンプレッサーの点検

エアドライヤーの下側に冷却水が付いてないか、エアーが

溜まったときに甘い匂いがしないか確認します。

冷却水が付いていて甘い匂いがしたらコンプレッサーヘッドが

割れてる可能性が高いです。

次にエアーコンプレッサー上部にホースがあれば

そこを外して内部に冷却水があるか点検します。

冷却水があればヘッドの割れだと思われます。

エアータンクに冷却水が溜まることもあります。

エアータンクのエアーを抜いてエアーコンプレッサーを

作動させます。この状態で最初の状態よりもエアーが

多く出るようだとエアーコンプレッサーヘッド怪しいです。

上記の点検をして何ともなければ違うところを怪しみます。

  • エンジンヘッド及びガスケットの点検

エアーコンプレッサーが怪しくなければエンジンヘッド側

の点検をします。

ただこの時点でエアーコンプレッサーが問題なければ

だいたいエンジンヘッドまたはガスケットだと思われます。

エンジンの回転数を上げてエアーの出方を見ます。

ポコポコ来る量が増えるならヘッド側、怪しいです。

排気ガス探知液をつかって色の変わり具合を見ます。

色が変わるならヘッド及びガスケットが怪しいです。

変わらない場合は他を点検します。

EGRクーラーの内部亀裂でも色が変わります。

この排気ガス探知液は少しぐらいならあまり変わらず

ボコボコひどいときによく変わるので信頼性は薄いです。

出も変わったときは間違いないと思います

  • EGRクーラーの点検

これは先ほどの排気ガス探知液で点検するのと

実際に外して中に冷却水があるか点検し、なければ外注に

水圧点検をしてもらいます。

  • ラジエーターの点検

エアーコンプレッサーが大丈夫そうで

排気ガス探知液が変わらないならエンジンヘッドまたは

ガスケットもしくはラジエーターの詰まりが考えられます。

ラジエーター内が錆びで詰まってエアーが抜けないのと

水の流れがうまくいかないのでサブタンクにエアーが

ポコポコくることもあります。

ラジエーターのアッパーホースとロアーホースを外して中をのぞいて

確認しましょう。錆がすごいようなら怪しいです。

  • マフラーの再生中に温度上昇で冷却水沸騰

マフラーの再生中に水温上がってサブタンクから水吹いた

みたいな情報をお客さんが言ってくれると思います。

原因としてはターボの制御またはシャッターの開閉不良

あたりだと思います。ラジエーターの水が沸騰して

サブタンクに水が増える現象です。

水温が上がる原因を探しましょう。

総論

まずエアーコンプレッサーの点検をして何ともなければ

ラジエーターの詰まりの点検をして問題なければ

EGRクーラーを取り外して外注に出して水圧点検

異常がなければヘッドガスケットの点検及びヘッド

外注水圧点検の流れでいいと思います。

  1. エアーコンプレッサー
  2. ラジエーター
  3. EGRクーラー
  4. ヘッドガスケット及びヘッド

この点検を基本の流れとして作業してもいいと思います。

吹き返しが小さい場合はどこが異常なのかわかりにくいです。

原因の特定が難しいときはまず簡単に修理できるところ

からやらしてもらって一か所づつ怪しいところを

消していくのがいいと思います。

参考になればうれしいです。

吹き返しの故障事例

イスズのフォワード 4HK1エンジンのラジエーター水漏れオーバーヒート

三菱ふそうファイター オーバーヒート及びE/G吹き返し(大)

三菱ふそう大型トラック6R10エンジン 水温オーバーヒート気味

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